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どれくらい時間が過ぎただろうか……
ただ俺は実彩の手をギュッと握っていた。
この白くて細すぎる腕を。
するとそっと、実彩の目が開いた。
「……実彩」
安心して名前を呼ぶと
実彩は頭をくるっと俺に向けた。
そしてそのまま目を大きく開けて
俺から離れようと立ち上がろうとする。
だけど、俺はそれを阻止して
そのまま実彩の腕を押さえる。
「ごめんな?」
すると実彩は抵抗する力を止めてジッと俺を見た。
「俺が、全部悪いんだ。何もかも。
俺が実彩のそばにいるから、
実彩はいつもつらくなるんだ。
俺がいるから、実彩は苦しむんだ」
想いをいざ言葉にすると
俺の目からは涙がこぼれ落ちていた。
「本当にごめん。
実彩の声を奪ったのも俺だ……」
思わず下を向いた涙を拭く。
「俺、実彩の声が好きだったんだ。
初めて会話した時は心が吸い込まれるような
綺麗な声に俺は魅了された。
でもそれより、俺は実彩の歌が好きだった。
実彩が作る歌詞も、実彩が歌う声も。
実彩が思いを込めて歌って作っている歌が
俺な大好きだった。
だから、実彩の声が戻るなら
このまま俺も離れようって思ったのに……
俺はいつの間にか実彩を追いかけていた。
それが、実彩にとって迷惑なのもわかってる。
だから俺は実彩に冷たくしたのに……
俺、何も変わってないんだ……
こうして俺はまた、実彩を傷つけている」
俺があそこにいたから、実彩は発作を起こしたんだ。
俺は、なんて意志の弱い人間なんだろう……
すると俺の手が急に温かくなった。
不思議に思って顔を上げると
俺の手をそっと握って、
笑いながら涙を流している実彩がいた。
実彩は首を振って俺の頭をそっと撫でた。
“ありがとう”
口がそう動いたのもわかった。
「……何で礼なんて言うんだよ……
俺はどんだけ実彩を傷つけたと思ってんだよ」
それでも実彩は首を振り続ける。
実彩は俺の手を取って手の平に文字を書き始めた。
“ち” “が” “う” “の”
ー違うの
“た” “す” “け” “て” “く” “れ” “て”
“う” “れ” “し” “い”
ー助けてくれて嬉しい
“た” “か” “ひ” “ろ” “は”
“わ” “た” “し” “の”
“ヒ” “ー” “ロ” “ー” “だ” “よ”
ー隆弘は私のヒーローだよ
そして実彩はクシャッと笑って
俺に抱きついてきた。
久しぶりに触れた実彩の温もりは
前感じた以上に温かくて柔らかかった。
どれくらい時間が過ぎただろうか……
ただ俺は実彩の手をギュッと握っていた。
この白くて細すぎる腕を。
するとそっと、実彩の目が開いた。
「……実彩」
安心して名前を呼ぶと
実彩は頭をくるっと俺に向けた。
そしてそのまま目を大きく開けて
俺から離れようと立ち上がろうとする。
だけど、俺はそれを阻止して
そのまま実彩の腕を押さえる。
「ごめんな?」
すると実彩は抵抗する力を止めてジッと俺を見た。
「俺が、全部悪いんだ。何もかも。
俺が実彩のそばにいるから、
実彩はいつもつらくなるんだ。
俺がいるから、実彩は苦しむんだ」
想いをいざ言葉にすると
俺の目からは涙がこぼれ落ちていた。
「本当にごめん。
実彩の声を奪ったのも俺だ……」
思わず下を向いた涙を拭く。
「俺、実彩の声が好きだったんだ。
初めて会話した時は心が吸い込まれるような
綺麗な声に俺は魅了された。
でもそれより、俺は実彩の歌が好きだった。
実彩が作る歌詞も、実彩が歌う声も。
実彩が思いを込めて歌って作っている歌が
俺な大好きだった。
だから、実彩の声が戻るなら
このまま俺も離れようって思ったのに……
俺はいつの間にか実彩を追いかけていた。
それが、実彩にとって迷惑なのもわかってる。
だから俺は実彩に冷たくしたのに……
俺、何も変わってないんだ……
こうして俺はまた、実彩を傷つけている」
俺があそこにいたから、実彩は発作を起こしたんだ。
俺は、なんて意志の弱い人間なんだろう……
すると俺の手が急に温かくなった。
不思議に思って顔を上げると
俺の手をそっと握って、
笑いながら涙を流している実彩がいた。
実彩は首を振って俺の頭をそっと撫でた。
“ありがとう”
口がそう動いたのもわかった。
「……何で礼なんて言うんだよ……
俺はどんだけ実彩を傷つけたと思ってんだよ」
それでも実彩は首を振り続ける。
実彩は俺の手を取って手の平に文字を書き始めた。
“ち” “が” “う” “の”
ー違うの
“た” “す” “け” “て” “く” “れ” “て”
“う” “れ” “し” “い”
ー助けてくれて嬉しい
“た” “か” “ひ” “ろ” “は”
“わ” “た” “し” “の”
“ヒ” “ー” “ロ” “ー” “だ” “よ”
ー隆弘は私のヒーローだよ
そして実彩はクシャッと笑って
俺に抱きついてきた。
久しぶりに触れた実彩の温もりは
前感じた以上に温かくて柔らかかった。

![[完]俺様くんがスキなんです!!](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre1.png)