「ゆかりーん♪」

杏奈が思いっきりゆかりんに抱きつく。

ゆかりんっていうのは
杏奈がつけたあだ名なんだけど……
知り合いからはそう呼ばれてたみたい。

「杏奈どしたの?」
「ゆかりんいい香りするんだよねー」
「変態か!!」

二人は凄い仲良くなっているんだけど……

私はあまりゆかりんとは打ち解けられていない。

別にゆかりんが苦手とか嫌いとか
そういうことでは一切ない。

むしろ凄い頼りにしているし
私達と2つしか違わないとは思えないくらい
しっかりしているし……
好きかと聞かれれば好き。

けど……なかなか打ち解けないのは……
きっと私の性格上人見知りだからだ。

ゆかりんとは仲良くなって
杏奈と3人でガールズトークだってしてみたい。

けど、私にはそんな少しの勇気が足りないんだ……

ゆかりんは積極的に私に話し掛けてくれるし
いろいろ気に掛けてくれる。

けれど……私はゆかりんに積極的に
行動したことはないだろう……

杏奈にも何回か言われた。

“自分から進んで行かないと
ゆかりんに誤解される”って……

そんなことわかってる……

けど、私は極度な人見知りから解放出来ずにいた。

「みーちゃん?どうしたの?」

ボーっとしているとゆかりんが
心配そうに私を見ている。

みーちゃんっていうのは
ゆかりんがつけた私のあだ名。

「あ、ごめんごめん。
ちょっとボーっとしてた」
「もー……気をつけてよ?
みーちゃんこの前そのまま壁に激突してたよね?」
「そーだね」

その時のことを思い出して苦笑いする。

「ちゃんとしないと今日のミーティング
乗り遅れちゃうよ?」
「だね」

ゆかりんとそんな話をしていると……

「早く会いたいなー」

杏奈が目をキラキラさせてゆかりんの隣を歩く。

「ねぇ、ヒカルカッコイくない!?
私凄いタイプなんだけどー」
「そう?」
「あぁ、ゆかりんはシュウしか見てないもんね」
「なにそれ」

そう……今日は初めてChargeに会う日。

ゆかりんの旦那さんはシュウだっていうし……

杏奈はヒカルって人のファンだっていうし……

Chargeのことをあまり知らないのって……私だけ!?