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ホテルに着くと
私の荷物は全部部屋に運ばれていて、
ロビーには私を待っていてくれた
みんなが座っていた。

「お、実彩ちゃんやっと来た」

直人のその声でみんな視線が私に向けられる。

もちろん、彼も……

“ごめんね”

口パクでそういうと
みんな安心した様子で笑ってくれた。

……一人を除いてだけど。

「よし、じゃあとりあえず海に行こう。
そしてそのまま海水浴だー!!」

光の声で一斉に荷物を持ち出すみんな。

私は医師から激しい運動はダメ
と言われてる為海には入らない。

というより、私もとから泳げないんだけど。

「実彩、暑いから日陰にいてね?」

杏奈の心配そうな顔に私は大きく頷いた。

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「海だーーーーーー!!」

光のテンションについて行けない私。

っていうか、みんなテンション高いし。

光と直人は二人で海でサーフィン。

杏奈と真司くんは砂浜でデート。

私は日本でいう海の家で休んでいるんだけど……

「……」
「……」

隣には何も喋ってくれない隆弘。

なぜ隆弘が海に入らないのかは知らない。

ただ、「海は好きじゃない」とだけ言って
私の隣に座っている。

その雰囲気に耐えられなくなって
私は財布をほ持ってそのまま立ち上がった。

すると……

ーガシッ

懐かしい感触が私の腕に響く。

私は思わずその場で足を止める。

「……どこ行くの?」

いつもより低い声だけど、
私はその声を久しぶりに聞いた。

それが何だかもどかしい。

私は財布を見せて少し先の海の家を指差した。

あそこで何か買ってくるという意味で。

すると隆弘は納得した様子で私の手を離した。

「俺も行く」

そしてそのまま隆弘は立ち上がった。

え、私隆弘から離れたくてそうしたのに……

「俺が会話しあげるから」

そしてそのまま私の前を歩き始めた。

この時、私はどうして隆弘が
私に着いてきたのか理由はわからなかった。