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目を開くといつもと同じ、朝が来ていた。

体を起こしてそのまま窓の外を見つめる。

すると……

ーコンコン

ドアが開いて入って来たのは真司。

真司は何も言わずにスタスタと
俺の前を通り過ぎて、窓の近くに行く。

そして来るっと振り返ると

「いいんか?これで」

少しトゲのある声が俺の心を痛める。

「光に譲って、いいんか?」

“光”

その名前はもう聞きたくない。

「実彩ちゃんが本気で光のことを「黙れよ!!」

その先の言葉が聞きたくなくて
俺はそのまま頭を抱える。

「わかってんだよ……
実彩が光のことをそんな風に見てないことなんて。
けどな、しょうがないんだよ!!
もう俺には、何も出来ねーんだから!!」

光が実彩を守ってくれないと
誰も実彩を守れないから……

「だからって、実彩ちゃんの心を無視するんか!?」

真司は俺の胸倉を掴んで睨みをきかせる。

「隆はそれでいいのかもしれん。
けど、実彩ちゃんは自分の気持ちねじ伏せられて
毎日を過ごしていくんか!?
断ることの出来ない光の要求を
実彩ちゃんは我慢してわざと笑うんか!?」

そんなこと知ってる。

けれど

「じゃあ、これ以外に何が方法としてあるんだよ!!」

こうするしか、方法はなくなってしまった。

「俺が隣にいることなんてもう不可能だ。
それに、今の俺じゃそんなこと出来るはずがない。
俺達は結ばれない運命なんだ……」

いつも思う。

運命なんて、誰が決めたんだろうか……

俺はきっとその人を一生恨むだろう……

何か言いたげな真司から目を逸らして
光が訪れたあの日のことを思い返していた。

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