目を疑った。

ついに幻覚でも見えたかと……

だって、キミを忘れたことなんて
一度もなかったから……

けれど、俺にはもう、そんな権利さえ、ない……

だってキミにたくさん傷つけた。

そしてもうキミは……
俺のものじゃなくて……

「何でいるんだよ……もう顔なんて見たくねーよ!!」

そう吐き出した瞬間、
彼女の顔が一瞬だけ悲しそうに歪んだ。

けれど、それはすぐかき消された。

そしてそのまま、俺に近づいてくる。

その綺麗な瞳に俺が映し出される。

なぜだか、胸がドキドキと騒ぎ立てる。

真司の怒鳴り声が聞こえない程……

でもその瞳は少しだけ揺れていた。

その瞬間俺はわかってしまった……

実彩はわざと俺を傷つけようとしているのを……

ーパーン!!

やっぱり……

鈍くジリジリと頬が痛くなる。

それはきっと、実彩が力を抜いたのだろう。

それからは何も耳に入らなかつた。

だって、実彩はあの右腕を俺に見せたから。

そして、自分を傷つけるように微笑した。

その右腕が俺の頭から離れない。

そして、あの時の光景が目にしみる。

思わず目を瞑りたくなった。

実彩は何かを言い残して部屋を出て行った。

その安心感からだろうか……

俺とそのままベッドに吸い込まれるように
倒れ込んでしまった

「辻!!」

俺に駆け寄る光。

そして、俺は意識が朦朧としながら光に問いかけた。

「お前、実彩を……守って、くれるんだよな?」

俺とお前は約束したはずだ……

「あぁ、守ってやるよ……」
「なら、実彩は、光が幸せに、してくれ……」

そして遂に俺は意識を飛ばしてしまった。

そして、後悔が頭に残る。

俺以外に、幸せに出来るやつなんていねーよ……