[完]Dear…~愛のうた~

杏奈と会うのは事故が遭ってから初めて。

だから、杏奈は私の腕を見て、
心配そうに、悲しむように顔を歪めた。

「座って?よく入れたね?
記者に何かいわれなかった?」

杏奈に話しかけると
杏奈は少し安心したように笑って椅子に座った。

「うん、私は報道されても大丈夫でしょ?
同じグループなんだから。
だから堂々と入って来たの」

クスクス笑う杏奈にホッとする。

いつもの杏奈と同じだ……

「そっか……何かごめんね?
忙しいんでしょ?」
「ううん、実彩がいないから何もやる気出ないし……
それに今は直人が対応してくれてるから」

そうなんだ……やっぱり直人には
迷惑掛けちゃってるんだな……

「それとね、どうしても
実彩に言わないといけないことがあって……」

杏奈は下に目線を下げる。

何か、言いづらいことなのかな……

「3つあるの……全部聞いてくれる?」
「うん、もちろん」

すると杏奈は顔をあげて少しだけ笑ってくれた。

「PEACEのことなんだけどね……?
私達だけじゃやっぱり無理ってことになって……
直人がマネージャーになることになった」
「……ってことは……」
「Chargeと合同になる」

……やっぱり。

私がこんなことになっちゃったから……
PEACEとChargeを守れなかった……

「予定だったんだけど……」
「……え?」

杏奈の言葉に訳がわからなくなる。

「実彩が復帰するまで、わからないって」

それって……

「私が復帰して、
また隆弘とレコーディングするってこと?」
「そうだけど、隆じゃないよ……」

その言葉に耳を疑った。

「……どうして?」

杏奈はまた下を向いて話そうとしない。

私の頭の中は嫌な方向に動き始める。

「ねぇ、杏奈教えて?どうして隆弘じゃないの?
何か、理由があるんでしょ!?」

必死に聞こうとすると杏奈の目から涙が出てくる。

「杏奈、隆弘は……?
私と離れた後、どうなったの……?
あの時のことを、私に教えて?」

私は……まだ全てを知らないらしい。

「私が言いたかったことはそれ。
あの日のことを話そうと思って。
でも……「私、真実が知りたいの。
だから、私に構わないで、教えてくれる?」

私がいくら傷ついたとしても……
真実を知りたい……