酔っているのだろうか……

いや、もう酔いから覚めて
いつもの実彩に戻ったんだ。

でも、なんで急にそんなこと……

「私、何回も死にたいって思った。
けれど、怖くて……
でもね、このまま二人で海に行ったら……」

……え?

驚いて実彩を見ると実彩は俺の手を掴んで
勢い良く走り出した。

「ちょ、実彩「私ね、隆弘とだったらどこにでもいけるの……
だから、一緒に、私と一緒に行かない?
あの空の果てまで……」

実彩は狂ったように海の中へ入っていく。

俺も含んで……

「おい、実彩!!どうした!?大丈夫か!?」

もう海水は俺の腰あたりまで来ている。

それでも、実彩は止まらない。

「隆弘、行こうよ!!ね?私と一緒に「実彩!!」

俺は思いっきり実彩を引き寄せて
腕の中へと誘導し、身動きをさせないようにした。

このままだったら、実彩は本当に死んでしまう。

俺はそんな実彩をギリギリのところで止めた。

「隆弘?どうして?私と一緒にいるの……嫌?」

実彩は少し抵抗させながら声を震わせる。

「俺は実彩の為だったら何でもするし、
どこにでも着いていく」
「なら一緒に「でも今の実彩とは何もしたくない」
「……え?」

悲しい声が耳に響く。

俺はゆっくりと実彩を体から離す。

実彩の目は悲しく揺れている。

「実彩がこれでいいなら俺を連れて行け。
けれど、俺は、実彩を殺したくない」

実彩の目を見てしっかりとそう言う。

実彩、頼むから、目を覚ましてくれ……!!

「実彩、何があった?教えて?」

優しくなだめるように問いかける。

ついつい肩を掴んで体を揺さぶってしまう。

すると実彩は何かから解放されたように
体を震わせて、ハッとして海水を見た。

「いや……!!何で私……
私、何をしようと思ってたの……!?」

そしてそのまま崩れるように
海水の奥へと引きずりこまれた。

「実彩!!」

俺は勢い良く実彩を支える為、
上半身を海水に潜らせた。