どうして、隆弘は自分を苦しめてまで
他の人を助けるんだろう。

あの自信は、きっと自分を傷つけてまで
みんなを守りたいという隆弘の信念から来ている
隆弘なりの言葉なんだろうか……

「ごめん、本当、マジで情けねー……
好きな奴一人守れねーなんて……」

“好きな奴”

そのフレーズに体が反応した。

隆弘はこんなに私に気持ちを伝えてくれてるのに
私は隆弘を逆に不安にさせてないだろうか。

本当に強くならないといけないのは、私なのに……

隆弘に甘えすぎて不安に、
責任を与えてないだろうか。

私は隆弘のおかげで過去のことを
少しだけ振り切ることが出来た。

私も、隆弘を支えるような、そんな人になりたい。

私は隆弘から離れてしっかりと目を見る。

「隆弘、私決めた」
「ん?」
「夢を叶えるって」

私のありったけな大きな夢を……

「夢?」
「私……」

隆弘はこの夢をどう思ってくれるのだろうか。

「私、音楽で、私の歌で勇気づけたいの。
だから、ここでPEACEを終わらす訳にはいかない!!」

私の歌は、その為に得た物ではないのか。

そう自分に言い聞かせても、
いままでは自信がなかった。

けれど、今は違う。

「強くなって、大きな存在になって……
私と同じように素直じゃなくて、弱い人に
勇気と感動、そして、夢を与えたいんだ」

私は隆弘に笑いかけて手を握った。

「実彩なら出来るよ、絶対」

隆弘はそう言って私の手を握り返してくれた。

でもね、それだけじゃ足りないんだ。

「だから隆弘」
「ん?」
「私達で夢を繋ごう?二人で一緒に」

隆弘と二人でじゃないと、ダメなんだ。

私や隆弘だけで頑張っても意味がない。

私は隆弘と二人で夢を繋ぎたい。

すると隆弘は驚きながらもクシャっと笑って
私の頭をそっと撫でた。

「そうだな」

その後、私達はどちらからともなくキスをした。

この幸せが崩れることがすぐそばに来てる
なんて知らずに……