私はその場に座り込んでしまった。

それは、困惑と不安、そして葛藤……

「はぁー……」

とため息をつこうとした瞬間

「やってやるよ」

ほぼ同時に隆弘の声が耳をかすめた。

私は思わず隆弘を見る。

「大丈夫だ、俺達なら出来る。
だから、みんなも信じてくれ」

そう言った彼の目は本気だった。

いや、自信に満ち溢れていた。

「そうだよな、二人なら出来るはずだ!!」

その一言で光くんが声をあげた。

「俺らの仲間や、出来ない訳がないやろ。
きっと社長も認めてくれるで?」
「二人とも、頑張ってね!!
私達、ずっと応援してるから!!」

それに続けて真司くんと杏奈が笑顔を見せる。

その時思った……

どうして隆弘の言葉には
こんなに人を変えられる力があるんだろうと……

「二人で話したいこととかあるでしょ?
じゃ、私達外言ってるから」

気を遣ってか私達を部屋に残し、
杏奈はみんなを外に出す。

ーバタン……

ドアが閉まる音と瞬間に沈黙が走る。

どうすればいいのかわかんなくて、
私はただフローリングの床座っていた。

そして、急に手が震え出す。

きっとそれは、
さっきの言葉が頭に残ってるから……

私は思わず体を抱え込んだ。

プレッシャー、不安という恐怖に耐えきれるか……

そして、みんなを守れるのか、心細くなった。

もう限界がすぐそこに来ていた。

目からは涙がこぼれ落ちる……

ーグイッ

その瞬間、私は急に体がコントロールされて
何かの温もりを感じた。

「ごめん……」
「……え?」

温もりの正体は誰だかわかった。

けれど、謝る理由がさっぱりわからなかった。

「なんで、謝るの?」

驚きで涙がすっかり吸い込まれてしまった。

「実彩に、プレッシャー掛けた」

プレッシャー?

それは、きっと隆弘も同じプレッシャーを感じている。

なのに、どうして私だけ……?

私は次の言葉に涙をこらえきれなかった。

「実彩は、抱え込みすぎてるのに……
俺がもっと強かったら、きっと実彩は何かに
追い詰められることはなかった。
それが、めちゃくちゃ悔しい……」

そう言って隆弘は私の背中に回す手に拳を作り、
私の襟元で必死に隠しながらも涙を流していた。