[完]Dear…~愛のうた~

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とぼとぼと家に向かい、
鍵を開けてソファーに座り込む。

「どうすりゃいいんだよ……」

そのまま膝に顔をうずめてため息をつく。

「どうすりゃいいんだよ……本当に」

秀が抜けたらどうなる?

誰が仕切る?ダンスは?

誰が鋭く突っ込んでくれる?

秀がいなくなったら、どうすればいいんだよ……

光一人に押し付けるのか?

そんなこと出来るはずがない。

Chargeは4人でいいバランスをとっていた。

誰一人欠けていいところなんてない。

それぞれひとりひとりが大きな役割を持っているんだ。

そして、リーダーは俺。

俺は確かにエースだった。

歌手だけじゃなくて、役者として活動したり
雑誌にだってたくさん取り上げられる。

けれど、エースとリーダーは違う。

確かに俺が先陣を切って走ってたけど、
その後ろで一番まとめてくれてたのは
リーダーである秀だ。

意見が合わない時は
いろいろアイデアを言ってくれて

喧嘩した時は必ず仲裁に入って、
悩みがあった時はちゃんと聞いてくれて
たくさんアドバイスをくれた。

そんな秀がいなくなったら、Chargeはどうなる?

ましてや、それを俺が出来ると思うか?

そして、秀とゆかりんの間には小さな命がある。

二人がそんな重みを感じていたのを
俺達は気づいてあげられなかった。

ゆかりんだって、これから大変だと思うし、
なんとしてでもその子を
守り続けなきゃいけないと思う。

けれど、二人共俺達にとって大事な人だ。

Chargeはもちろん、PEACEにだって。

だから、その子に二人をとられるのは
凄い悔しいし、悲しい。

こんなこと言ったらダメだけど、
正直まだ生まれてくるのは早いと思う。

そんなことを考えながらも
俺は携帯を持っている指を進めて
ある人に電話を掛けていた。