利用、されてる?

「俺が結婚したってことにしとけば
儲かるだろ?ネタが尽きなくて。
けど、実際にはとんでもないくらい反対してる。
一回俺達が結婚するなら
この事務所を閉じるとか言われたな」

秀は懐かしそうに
でも少しトゲのある声でそう言った。

「俺が挨拶と本当の結婚を求めた時は
何回も水をかけられたり、悪口言われたり。
まぁ、それも俺だけの悪口ならいいけど
友香理やChargeの悪口も言ってるのが
一番苦痛だったかな」

秀は、社長に利用されながらも
結婚を求めに行ってたのか……?

「でも、俺達そろそろ本当に結婚したいんだ。
いくら社長に反対されたって友香理を愛してるし、
これからもずっと守って生きたい。
この気持ちは変わらないんだ。
それで、俺達は意志を固めた」
「……え?」
「俺達は社長の反対を押し切って結婚する。
それは、明日の俺達が付き合い始めた日。
だから、隆と直人には言おうと思って」

本当に結婚するんだ……

今までそう把握してたからなんだか変な気持ち。

「そっか、おめでとう。
でも、直人はあれだけど何で俺にも?」

すると秀は下を向いた。

「いいよ、別に?
何言っても秀を攻めたりしない」

秀は何度も頷きながら俺に顔を見せた。

「社長は何するかわからない。
俺達に何かするかもしれないし、
Chargeに何かするかもしれない。
それと……もしかしたらPEACEにも
支障が出るかもしれない」
「……え?」
「もし、そうなったら俺は何も出来ない。
だから、この弱い二人、中でも実彩ちゃんを
隆が救って守ってあげて欲しいんだ」

そう言った秀の瞳には薄く涙が溜まっていた。

「俺達とChargeの次に危険なのは実彩ちゃんだ。
それと、隆に言いたかった理由がもう一つ」

秀は俺の肩をしっかりと抑えてこう言った。

「もし、俺が友香理をここで守れなかったら
俺はここを出て友香理と暮らす」
「……え?」
「……つまり、俺がChargeを抜けるってことだ」

そう言った秀の顔は、もう濡れていた。