僕は君の名前を呼ぶ



「お前、あの子のこと好きなのか?」


母さんが橘のためにホットココアを作っているとき、
兄貴が俺にそっと耳打ちしてきた。


「は?兄貴なんかにぜってー言わねー」


「お前、お兄様に逆らう気か?」


お兄様っておいおい…。


「一番最初に気持ちを言うのは好きな子がいいからな」


こんなん、兄貴に本音を言ってるようなものだけど、“お兄様”のためだからな。




「お風呂、上がりました…」


すると、橘が風呂から上がってきた。

俺が貸した短パンとTシャツを着ているが、やはりサイズが大きいようだ。

それでもかわいい。


きっと橘は何を着ても似合うんだろうな。