僕は君の名前を呼ぶ



「助けて欲しい」と言うと青木はすぐに電話を切った。

青木なら来てくれると信じ、ベンチの上で冷えた体をさすった。




何分待っただろうか。
息を切らし焦った表情で青木はわたしを助けにきてくれた。


青木とどんなやりとりをしたかは覚えていない。

寒さと恐怖で多分わたしはうなずくことしかできなかったと思う。



わたしが覚えているのは、青木の優しい微笑みと温かい背中だけ…─────。


【彩花 SIDE:END】