僕は君の名前を呼ぶ



本当に無事でよかった。


俺はこれ以上橘が傷つくところは見たくない。

そう思っているのに、俺は身も心もボロボロになってしまった橘を見守ることしかできない。

それが、悔しくて悔しくてたまらない。




橘が風呂に入っている間に、俺は母さんと兄貴に事情を話した。


ふたりとも、「うちでよければ彼女の力になりたい」と口を揃えて言ってくれた。

母さんと兄貴の協力があっても、それでもどうにもならないことはあるだろうけれど、橘を助けたいという気持ちにかわりはない。


進学するにしても就職するにしても、彼女は独立すべきだ。


早く父親から解放させてあげないと…──。