偶然の一致ではあるけど、俺にとってはこういう些細なことでも嬉しく感じられる。


「同じ、だな」


「うん。動機が不純同士、がんばろーね」


「『動機が不純』って…、なんか、聞こえが悪くないか?」


橘さんも、毒を吐くんだな。意外だ。
あの日桜の木の下で見た可憐な姿からは考えられないな。

でも、橘さんのそんな側面を知れたのは、こういうふうに接点を持てたからだ。


「えー、でも、そうとしか言いようがなくない?」


「…確かに」


チラッと橘さんに目を向けると、視線が絡んでしまった。
心臓が、脈を打つ。


「わたしの家ここ」


「なんだ、近いじゃん」