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深夜のリビング。


俺は布団には入らず、床で膝を抱えていた。


ひとりで過ごす夜に慣れてしまったせいか、家に他人がいるってだけで落ち着かない。


いや、落ち着かないのは、里香先輩の存在で多少なりとも彩花に対しての罪悪感のせいなのかもしれないな…。


この家には、彩花以外の女の子は絶対にあげないと決めていたのに。


こうも簡単にその決心が崩されてしまった。


こんなことになるなら、先輩を引きずってでも早いうちに居酒屋から出ればよかった。


でも、終わったことはどうにもならない。


やっぱり人生は後悔の繰り返しで。


このまま何も起こらないことを願って朝を待つしかない。


「彩花、ごめん」


リビングに放った俺の声は闇に飲まれていった。


完全に事後報告。


彩花はどんな反応をするだろうか。


時々俺のために気持ちを殺すこともある優しい彼女は、「それは仕方なかったことだね」というかもしれない。


でも、ヤキモチやきの俺のお姫様。


『海斗なんか嫌い』と飛び出るかもしれない。