「どうすんの!? ホテル代やタクシー代、マン喫代はあんたから落ちるのかしら」
酔った先輩を蔑むような目で見下ろす里香先輩。
このとき俺は、本気で里香先輩が怖いと思った。
「里香ちゃん落ち着けって! 地方組はここらへんで一人暮らしだろ? 今日だけお邪魔しようぜ」
「それも、そうね」
里香先輩は我にかえったのか、いつもの優しい表情に戻った。
そんな鶴の一声で先輩たちのバトルは収まったのだった。
ただ。
ただひとつ、しこりが残ってしまった。
今日のメンツの地方組は夏樹と俺、それから先輩のうちのひとり。
じゃんけんで帰宅困難になったメンバーをわけ、俺の家には3人が泊まることになった。
同じ学年のヤツふたりと、里香先輩だ。
つまり、里香先輩がしこりなわけで。
彩花の顔が脳裏でちらつく中、一体俺は、今夜をどうやって乗り越えたらいいのか…。
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