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冬の昼は短い。


俺たち以外誰もいない砂浜を、星たちが照らし始めた。


「地元より星がよく見える気がする」


「そうだな。空気が澄んでて気持ちいいな」


「ずっとこのままがいいなあ」


「俺も」


また乙女チックな考えだけど、世界中の時計の針を止めてしまいたいとまで思えた。


でも、ここに吹く潮風が時が流れるのを感じさせた。


現実は、どこまでも残酷だ。


「彩花ちゃん、手ぇ出して」


そう言うと彩花ちゃんはびっくりした顔をしながらこっちに手を出した。


「ちょっと早いけど、誕生日おめでとう」


俺が彩花ちゃんに用意したのは腕時計。


彩花ちゃんの小さな手を取り、腕時計を通した。