僕は君の名前を呼ぶ



「わたしも海斗くんと、そういうふうになれたらなーって」


俺の脳では、彩花ちゃんが言いたいことが理解できなかった。


「知り合いでもないただのミュージシャンの歌でもそう思えるんだよ!?
だからね、わたしたちは一年しか一緒にいられなかったけど、これから先、記憶のどこを切り取っても海斗くんがいればいいなあって」


血の流れも、呼吸も、
止まってしまったかのような錯覚に陥った。


彼女の口から、そんな言葉が発せられるとは思いもしていなかった。


そして、俺の気持ちが決して一方通行ではなかったのだと気づかされた。


やっと。

やっと交わったんだ。


交わるはずのなかった想いが、今確かに合わさったんだ。


「俺も、同じ気持ちだよ」


溢れ出しそうな涙を隠して、俺はそう答えた。


多くを言わなくても、すべてが伝わっていると思った。