君と出会った春がまた少し近づいた頃、俺は高校を卒業した。


彩花ちゃんも俺も無事に志望大学に合格した。


隆太も都内の大学に、渡辺は指定校推薦で県内の大学へ進学を決めていた。


みんなバラバラになってしまった。


そうそう。
不思議な縁でもあるのか、夏樹も俺と同じ大学に進むことになったのだ。

俺も夏樹も彩花ちゃんの秘密主義の癖が移ったのか、進路の話をしたことがなかったからこのことを知ったのはつい最近だ。


それでも新しい生活の期待よりも、圧倒的に不安の方が大きかった。


当たり前のように一緒にすごしてきた家族や友人、恋人は春からはもうそばにいない。


ダサくて嫌いだった校歌も、中学の頃からずっと着て飽きていた学ランも、今日で最後なのだと思うと少し恋しく思える。


寂しくなるな。