俺はケータイのカメラを起動させた。


「花火、写るかな」


「んー、極力写るように頑張る」


──カシャッ


撮った写真を確認すると……。


「花火は写ってるけど、俺らが切れちゃった。ほら見て」


バックの花火はよく撮れてるのに、橘の顔も俺の顔も切れてしまっていた。

ふたりの間にあるわずかな距離がそうさせていた。


「ほんとだ…」


「もーいっかい、撮ろう」


「こーしたら、いいかな」


突然橘が声を張ったかと思うと、次の瞬間、俺の右肩にぬくもりが。

橘は首をこっちに傾げて、俺の右肩にコツンと頭をもたれていた。


み…、密着…!


「た、橘!?」


「もー、早く撮るよっ」