「橘には、笑顔が似合ってるよ。だから、笑ってて欲しい」


「…うん」


──ドンッ


いきなりした大きな音にびっくりして顔を上げると、空には花火が浮かび上がっていた。


「花…、火?」


「うん。ここのお祭りは毎年花火が上がるんだよ。…ってわたし、言わなかったっけ?」


「ま、マジか…。この前思い出作りに公園で花火したのが恥ずかしいよ」


でっかい花火が上がるって知ってたら、あんなことしなかったのに…。


「じゃあ、この前のは予行練習だね。打ち上げ花火に願い事するのって、有効かなあ…」


橘は落ち込む俺にフォローを入れてくれた。


「ありがとな。…あっ!写真撮ろう、写真!記念に!」


「撮りたい!」