「何お願いしたの?」
閃光が残像になってまだ目の前でちらつく。
なんだ、案外消えないもんだな。
「ん~、内緒!言ったら消えちゃいそうじゃない?青木は?」
「俺も内緒!」
“大切な人の笑顔を見れますように”
俺の願いは、橘に“俺の大切な人”を知られてしまった以上、言うことはできない。
けど、この想いが消えることはないと誓うよ。
「ごめんな、こんな時間に呼び出して。家まで送る」
「うん、ありがと…」
橘の家までの道のりをふたりで歩く。
夜はすっかり深まっていた。
狭い空から覗く星と青白い街灯が俺たちを照らしている。
このまま、この光が彼女のことを導いてくれたらいいのに────。

