なあ、橘。
もし俺が今、この花火で空に《スキ》って書いたら橘はどんな顔をするか?

あの日のように微笑んでくれる?それとも────。


自分が満足する方向に転がるだなんて思っていない。そんなに甘くないよ、恋愛は。


《スキ》だなんて、到底言えるわけない…────。




「ねえ、知ってる?」


そんなことを思っていると、橘は俺にこう言う。


「線香花火の言い伝えなんだけどね。願い事を思いながら花火をして、最後まで玉が落ちなかったら願い事が叶うんだって」