【短編】君の数字



う~ん。

確実に、2人の楽しいデートに花を添える話題を提供してしまったな。

特に、青い瞳のことは、しばらく盛り上がるんだろうな。

おそらく、このあと街中で青っぽいサングラスなんかを見かけたら、

『あっ、超サヤカっぽい』

『ほんとだ、ウケる~』

なんていう会話が生まれたりするのかな。

うん、きっとそうだ、そうに違いない。

まあ、いいけど。

私の瞳の色で、サヤカたちのラブラブぶりを深めるお手伝いができるのなら。


瞳が青っぽい。


そう。

確かに、私の黒目の部分は、生まれつき少しブルーがかっていた。

まるで、ヨーロッパ系の瞳。

それに加えて、最近、髪も栗色にし、ゆるめのパーマをかけている。

だから、自分で言うのもなんだけど、少しお姫様っぽくなっている。

うん。

ちょっとやり過ぎたかも。

まぁ、いいか。

評判は悪くないし。

むしろ、いい感じだし。


よし。

やっぱり、ルックス的にも人生で1番のっている今を逃す手はない。

絶対に、運命の人を探してやる。


でもな……


ハァ。


昨日は、参ったな。

まさか、サッカー部の山川くんも、バスケ部の遠藤くんも、相性が良くなかったなんて。


まあ、いいか。

次だよね、次。

これから、じっくり探していけばいいんだよね。


「よし、頑張ろう」


私は、昨日のことを振り返りながら、ショッピングモールに向かう横断歩道を渡り始めた。



――すると。