――放課後。
「さ~てと、化粧水買って帰ろうっと」
学校が終わった私は、近くのショッピングモールに向かうため、いつもの帰り道とは違う道を歩いていた。
今日は、店があまり忙しくないので、早く帰って手伝う必要もない。
あはっ。
嬉しいな。
何にも予定がないっていうのも、たまにはいいもんだな。
ショッピングモールに向かう私は、まさにルンルン気分。
今日は、買いたい物がいっぱいある。
化粧水。
ファンデーション。
マスカラ。
あっ、あと新しいミュールも買いたいから下見しとこうかな。
よしっ。
もっと、オシャレをして早く運命の相手を見つけなくては。
「やっぱ、ショッピングは楽しいな~」
私は、晴れ渡る空を眺めながら、ウキウキで歩いていた。
――すると、その時。
「あっ、サヤカ~」
あっ。
「何してるの~?」
バッタリ出会ったのは、クラスメイトのユイ。
あれ?
誰だ?
ユイの隣に誰かいるぞ。
はっ!
て、ていうか。
ユイが、一緒にいる人って……
も、もしかして……
「ねえ、ユイ」
私は尋ねた。
「ひょっとして……彼氏?」
「うん!」
ユイは、嬉しそうに声を弾ませて言った。
「2週間前から付き合ってるの。バイト先で知り合ったんだ。シュンスケって言うの」
ちなみに、とユイは言った。
「シュンスケは、新宮大学の法学部に通ってるんだ」
げっ!
ま、まじ!?
「もう、今、ラブラブ真っ最中って感じ~」
ムギュッ。
ユイは、そう言うと、おもいっきり彼氏の腕に抱きついた。
はっ!
み、見える!
ユイの周りに、蝶々やお花畑が見える!
こ、これが『べた惚れ』っていうやつか。
おそらく、
『世界は私たちを中心に回ってるのよ~、オホホホ~』
というセリフは、こういう感じで恋に落ちた人が言うんだろうな。
うん。
きっとそうだ。
そうに違いない。

