「あのね……」
私は尋ねた。
「今のお父さんやお母さん……学校の友達は……どうして、私のことをすんなりと受け入れているの……?」
「それは……」
レイは言った。
「そのネックレスのおかげです」
「え?」
「その緑の石がついたネックレスには、周りの人に自分を認識させる効果があるのです」
え……?
「そのネックレスは、もしお嬢様に何かあった時のためにと、王が常に持たせていたものです」
「ど、どういうこと?」
「残念ながら、GPS機能は長距離移動のワープの際、磁場の関係で壊れてしまったようですが、それには、お嬢様を常に守るようにプログラムされています」
ですから、とレイは言った。
「お嬢様がここに辿り着いた時、そのネックレスが自動的にお嬢様に安全な場所を提供したのです」
「安全な場所……?」
「ええ」
レイは言った。
「その家の子供として生活することができ、周りの人間にも以前からお嬢様がいたように思わせることができたのです」
「そうなんだ……」
そういうことだったのか。
今の私が住んでいる和菓子屋や、毎日通っている学校、それらは全部、このネックレスのおかげだったんだ。
だから私は、当たり前のように無事で楽しい毎日を過ごすことができたんだ。
「そっか……」
私は、なんだか胸がチクリと痛んだ。
なんだろう。
みんなを騙していると思ってしまったのかもしれない。
でも、それと同時にこうも思っていた。
お父さん、お母さん、学校のみんな。
ありがとう。
仲良くしてくれて本当にありがとう。
私が地球で楽しく過ごせたのは、みんなのおかげです。
ありがとう。
本当に本当にありがとう。
感謝の気持ちで心がいっぱいだよ。
「ありがとう……」
私はしばらくの間、目をつむりネックレスを握りしめ、ずっと感謝の言葉をつぶやいていた。

