「私は……」
そしてレイは、ゆっくりと口を開いた。
「その記憶だけが頼りでした。ひょっとしたら、お嬢様は昔から行きたいと思っていた地球に行ったんじゃないか……そう思っていました」
そして、とレイは言った。
「トラベルマシンと連動するコンピューターに残されたデータを調べてみると、やはり3億7千万光年離れた地球に行った可能性が強いことが分かりました。細かな場所も、特定できました」
ですが、とレイは言った。
「そのデータは、あくまでも出発前のもの……運転が素人なお嬢様だと、宇宙航海中の色々な出来事によって、辿り着く場所が違っている可能性が大きかったのです」
なにより、とレイは言った。
「3億7千万光年も離れている場所です。しっかりと判断してから行かなければいけないと王たちは考えていました」
ちなみに、とレイは言った。
「お嬢様が地球に辿り着いている確率は、およそ20%と我々は推測しました。候補地は他に3つ……バリューミング星、ラティッカ星、セイナッシュ星……この3つの星にもお嬢様がいる可能性がありました」
でも、とレイは言った。
「私は、20%の数字の地球に賭けました」
「え……」
私は尋ねた。
「どうして、そんな低い数字を信じたの?」
「数字じゃありません……お嬢様に会いたいという強い意思があれば、私は会えると思いました」
「レイ……」
「運命とは自分で切り開くもの……そう思ったんです」
「…………」
そうか……
そうだったのか……

