「ハァ……」


遠藤くんの姿が見えなくなったあと、私はがっくりと肩を落とした。


「16%って……」


低い。

低すぎるわよ。

遠藤くんとは、同じクラスで日頃から仲もいい。

バスケ部のキャプテンで、誰が見ても爽やかボーイのイケメン。

たぶん、向こうも私のことは嫌いじゃない。

ううん、結構、いい感じだと思う。

そして、私も遠藤くんのことは、前からちょっといいなと思っていた。

だから、今日、おもいきって数字を見てみたのに……


「ま、まさか、16%とは…………」


トホホ。

こりゃ、遠藤くんとラブラブになるなんてありえそうにないな。

ましてや、運命の人だなんて絶対にありえないな。


「あ~、もう!」


私は、最近パーマをかけたばかりのお気に入りの栗色の髪をかきむしった。


実を言うと、私には、絶対に誰にも言えない秘密がある。


『数字が見える』


私には、生まれつき、そんな特殊な能力が備わっていた。

ちなみに、何の数字かというと、その相手との相性。

自分と相手との相性が、数字になって頭の中に流れ込んでくるのだ。

でも、それは、異性限定。

女の子には反応せずに、男の子だけに反応する。

だから、私は自分の中で、この特殊能力はこういうふうに思っている。


『運命の人を見つける能力』


こう思っている。


そして、どうやって数字を知ることができるかというと、それにはちょっとしたルールがある。


まずは、狙いを定めた男の子の体のどこかに触る。

ここで重要なのは、服の上からじゃ意味がないということ。

必ず、直接、体に触れなければいけない。

私の体の一部と相手の体の一部が、接触していなければいけない。

そして、相手に触れた状態のまま、視線を合わせる。

見つめ合わなくてはいけない。

その時間は、5秒間。


すると、いきなり『スパン!』と私の脳内に数字が浮かび上がる。


そう。


その数字が、私とその男の子との相性というわけ。