【短編】君の数字



でもね、私は分かるの。

今度の涙は、自分に対しての嫌悪感から流れる涙じゃないって。




この涙は、最高の嬉しさが形となって現れたもの




キュン――

キュン、キュン――




あぁ、なんだろう。

胸の奥に、すごく心地いい安心感が込み上げてくる。



キュン――

キュン、キュン――



守られているという幸せが私を包みこんでくる。


「レイ……」


あぁ、そうか。

私は、レイが好きなのかもしれない。


数字なんかじゃない。

なんだか、レイには他の人とは違う運命じみたものを感じる。


なんだか、私の心がそう言っているんだ。


『この地球上で、彼ほど相性のいい人は他にいないよ』


ずっとずっと、こう言っているんだ。


世の中で、本当の運命の人に出会える確率は、いったいどれぐらいだろう。



スパン!――



でも、私は出会った。



スパン!――



だから、これから、レイと楽しい時間を過ごしていくんだ。




スパン!――

スパン!――




そう。


楽しい日々を過ごしていくんだ。





レイ・ジョーナ・イリンハーツと。





――スパン!





「ねえ、レイ・ジョーナ、これからもずっと……」


私を……


守って……ね…………




…………スパン!





「え……?」


……あれ?

な、なに、今の……?


私、今、レイのことをなんだか変な名前で言ったよね。

なに、今の?

私、なんて言ったっけ?

確か、レイ・ジョーナ・イリンハーツって……



――その時だった。