【短編】君の数字



「い、いや!」


バッ!


私は、遠藤くんの手をおもいっきり払いのけてしまった。


それは、反射的に体が動いたという感じ。

自分でもどうしてこんなことをしたのか分からない。

でも、体が勝手に反応してしまった。



28%――



私との相性、28%という数字が見えたからだ。

だから、私の体が拒否反応を表してしまった。


ど、どうしよう。

とりあえず、謝らなきゃ。


「ご、ごめん……」


私は、慌てて頭を下げた。


「ほ、本当にごめんなさい」

「い、いや……俺のほうこそ悪かった……」

「あ、あのね、今のは……」

「サヤカ」


遠藤くんは言った。



「忘れてくれ」



私の言葉を笑顔を浮かべながら遮った。


「ご、ごめんな……おまえの気持ちも考えずに嫌な思いさせて……」


じゃあ、と右手を上げた。


「俺、部活に行くから」


バイバイ、また明日な、と言って、遠藤くんは走って行った。


「遠藤くん……」


私は、バッグを抱えて走っていく遠藤くんの後ろ姿を、ただ見ているしかできなかった。



違うの!――

違うの!――



本当は大声でこう言いたかった。

でも、私にはできない。

生まれた時からのこの能力のせいで。

本当は、もっと先の分からないドキドキするような恋愛を楽しみたい。

好きになったり、時にはケンカしたり、そして仲直りしたり。



そうなんだ。

私は、相手との相性の変化も本当は楽しみたいんだ。