「たしか、32%……だったんだよね……」
う~ん。
全然ダメだ。
サッカー部の山川くんなら、結構いい数字が出ると思ったけど。
昨日は、ホント、予想外だったな。
でも、今日は違う。
今日は自信がある。
バスケ部の遠藤くんなら、きっといい数字が出るはず。
「あっ!」
き、きた。
私は、放課後の下駄箱の側で、部活に向かおうとする遠藤くんに声をかけた。
「遠藤くん~」
「なに?」
「ちょっと顔が赤いよ。熱あるんじゃない?」
「そう? 別に体調悪くないけどな」
「一応、熱があるか見てあげるね」
ペタッ。
私は、さりげなく遠藤くんの額に手を当てた。
そして、じっと遠藤くんの目を見つめる。
「な、なんだよ。そんなにまじまじと見るなよ」
遠藤くんは、少し照れているようだ。
でも、私は逸らさない。
遠藤くんの目から視線を外さない。
すると――
ピタッ。
き、きた!
遠藤くんと目が合った。
でも、冷静に。
私は冷静に振る舞わなきゃ。
「う~ん、思ったより熱はないかな~」
そ、そのまま!
そのまま、あと5秒間じっとしてて!
私は、ドキドキしながら遠藤くんの目を見つめた。
1
2
3
4
5
――5秒間のわずかな時が流れた。
スパン!
そして、私の脳に、ひとつの数字が勢いよく飛び込んでくる。
それを認識した私は、パッと遠藤くんの額から手を離した。
「うん、大丈夫、熱はないよ。部活頑張ってね」
「サヤカは、また店の手伝いか?」
「うん、隕石まんじゅうが売れに売れて大忙しなの」
「ハハッ、隕石さまさまだな。じゃあな、おまえも頑張れよ」
バイバイ、また明日な、と遠藤くんは言った。
そして、バッシュとジャージの入ったバッグを抱え、体育館へと走っていった。

