【短編】君の数字




そして、少なからず顔の筋肉がひきつっている私を見ても、レイはいつもと変わらず、にこやかに話しかけてきた。


「あっ、お嬢様、勉学お疲れ様でした」

「ど、どうも」

「最近、私の筋肉がより一層輝いて見えるのです。また私は美しくなってしまいそうで恐いです」

「は、はは……」


ふう……全くこいつは……

あっ、そうだ。

とりあえず、あれを確認しとかなきゃな。


「あのね」


私はニコッと笑いながら言った。


「握手してみて。私の手、やわらかいんだよ」

「そうなのですか。では、失礼いたします」


ところで、とレイは私の手を握りながら言った。


「お嬢様は今日もお美しいですね。私の次にお美しいでございます」

「は、はは……」


これだよ。

褒められてんだか、自分の美貌を再確認してんだか分かりゃしない。

まあ、いいや。

とにかく、早くチェックしなくちゃ。


「ねぇ、レイ」


私は、自分の目を指さしながら言った。


「私の目に、ゴミが入ってないかな? ちょっと痛いんだけど」

「さようでございますか。では、ダイヤのように輝ける私の瞳で確認してみましょう」

「た、頼むね……」


こいつは、普通の言葉で会話はできないのかな。

まあ、いいや。

これで視線が合うはず。


視線よ、からまれ。

視線よ、出会え。



ピタッ。



おっ!

さっそく、目が合った!















スパン!



き、きた!

私の脳内に数字が浮かんできた!


さあ、どうだ!

今日の数字はどうなんだ!


――気になる数字は!?


「え!」


な、なんと!




87%――!!!!!




うわっ!

さらに2%上がってる!


やっぱり、私とレイは相性が抜群に良いんだ。


そう。

この数字の凄さが、私がレイのストーカーまがいのつきまとわりを許している理由。

本当に、こんな数字は、生まれて初めてだ。