【短編】君の数字




そう考えると、レイは本当にすごいな。

まさか、ここまで自分が大好きな人間がいるとは。

私は、毎日驚くばかり。

さてさて、いったい今日はどうなることやら。

たぶん、今日も校門の前で……


「あっ、いた」


私は、遠目ですでにレイの姿を確認した。


すると、今日は、何もせずにつっ立っている。


おっ、なんだ。

ひょっとして、ナルシストだと思ったのは、私の勘違いだったのかな。

私は、ちょっと安心しながら近づいた。

まあ、ストーカーされてることに違いはないんだけどね。

でも、レイはやっぱり普通の大学生かもしれない。

それが、ちょっと嬉しかったんだ。


「何してんの?」


私は、レイの肩をトントンと叩き、声をかけた。



――すると、その時だった。



「げっ!」


私は目をギョッと見開いて驚いた。

なぜなら、レイがやはりナルシストぶりを発揮していたからだ。




「美しい……」




お、おい……




「この大胸筋の膨らみ具合は最高だ」




ま、まさか……




「私の筋肉は、形も質も素晴らしいぃぃぃ~~~!!!」




でえぇぇぇぇ~~~~!!!!

自分の筋肉に見とれてるぅぅぅぅ~~~~~~!!!!!



しかも、ちょっと、胸の筋肉がピクピクって動いているのが服の上からでも分かる~~!


や、やっぱり、こいつはナルシスト!

普通なんかじゃない!


私は、そう思わずにはいられなかった。