【短編】君の数字



でも、ひとつ問題がある。

超がつくほどのナルシスト。

これが、やっぱり、今1番気になるところ。


う~ん、まあそのことはおいおい考えるとして……

とにかく言わなきゃ。

今日も授業が終わった時、レイは校門の前で待ってるはず。

『悪いけど、登下校の時、毎日寄り添うのはやめて』

はっきり、そう言わなきゃ。

そりゃ、気持ちは嬉しいんだけど……


私ももう少し、レイがどういう人か距離を置いて観察してみたいしね。



――放課後。



「はあ……今日はどうなんだろ……」


私は、ドキドキしながら校門に向かった。


なぜかというと、レイが校門の近くでもナルシストぶりを発揮しているからだ。


1日目は、持参の手鏡を見て『だめだ……』と渋い顔。

いったい、何がダメなんだろう。

髪型が、いつもよりも思うように決まらなかったんだろうか。


2日目も、同じように手鏡を見て『どうすればいいんだ……』と頭を抱える始末。

ていうか、悩みすぎでしょ。

肌の吹き出物がひとつ出たぐらいで、そんなにショックをうけなくても。


とおもいきや、3日目は、その手鏡をポケットに直しながら『ふっ、完璧だ……』とニコニコ顔。

髪型もバッチリで、吹き出物も無くなったからかな。

やっぱり、自分の美しさは非の打ち所がないと思ったんだろうな。


うん。

本当に自分が大好きみたいだ。

あっ、そういえば昔、こんなことがあったな。

誰かに『自分を好きになりなさい』と言ったことがあったような気がする。


それが、誰だったかは覚えてないけど、とても自分に自信がない子だった。