【短編】君の数字




――3日後。



いま、私の生活では、ちょっとした変化が起こっていた。


「お嬢様、3歩向こうに、直径4センチの石がありますよ。お気をつけて」

「は、はあ……」

「お嬢様、今日もお綺麗ですよ」

「あ、ありがと……」

「もう少し頑張れば、私の美しさに近づけますよ」

「ど、どうも……」


この3日間、登下校はこんな感じだ。

そう。

実は、この間助けてもらった彼、レイが私にずっと寄り添っているのだ。

きっかけは、もちろん、あの日。

交差点で車から助けてもらったから。

あのあと、会話の流れからレイと2人で喫茶店に入った。

まあ、私もお礼がしたかったから、ちょうど良かったんだけど。

で、電話番号とメールアドレスを交換して、その日は、家まで送ってもらった。

すると、その別れ際だった。


「あの」


レイは、にこやかに言った。


「私はこれからもお嬢様の側で、ずっとお守りします」


では失礼します、と頭を下げると、走って帰っていった。

私は、その後ろ姿を手を振って見送った。

その時は、本当にキザな言葉を言う人だなぐらいにしか思わなかった。

まさか、本当に登下校、送り迎えをしてくれるなんて思わなかった。


ということで、レイと初めて出会った日から3日間、私は彼とつきっきりの生活を送っている。

なんだろう。

新手のおもいきったストーカーかな。

私は、そんなことも考えたりした。

う~ん。

でも、レイのことは嫌いじゃないんだな。

年は確か、21かな。

大学生だと言っている。

そしてなにより、私の特殊能力で調べた結果、相性は抜群にいい。