【短編】君の数字





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「俺、自分に自信がないんだ」

「どうして?」

「だって、背も低いしかっこよくないし」

「ダメだよ、そんなこと言っちゃ。自分のことは好きにならなくちゃ」

「え?」

「自分のことは、常に大好きでいなくちゃ。そうすれば自分自身がすごく喜んで、もっと魅力ある人になるんだよ」

「ありがとう。俺、自分のことを好きになるように努力するよ」

「うん! 頑張ってね!」



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あれは、私が12歳の頃。

誰かに、こんなことを言ったような気がする。

ぼんやりとだが、頭の片隅に残っている。

いったい、あれは誰だったんだろう。

はっきりとは思い出せない。

でも、言った内容は、よく覚えている。




自分のことを好きになりなさい。




こう言ったのは、よく覚えている。