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ゴトン、ゴトンと揺れながら、少しずつ上昇していく小さな箱。
その度に肩が震えて、膝の上で作った拳をぎゅっと握り締める。
1つ前の黄色の箱の中には、薺ちゃんと塔田くん。
私の向かいには、南くん。
こんなに狭い中で南くんと2人きりで、加えて、自分が高所恐怖症だということを誰にも言えずに乗ってしまった観覧車の中で、私はずっと、自分のきつく握った拳を見ていた。
ちらりと外を見てみると、ほとんど頂上の位置にいて、思わず「ひゃ…っ」と声が出てしまった。
「…大丈夫? 隣、行こうか?」
向かいから優しい声が聞こえた。
「だっ、大丈夫…です。ごめん…なさい…」
さらに強く握った拳は、力の入れすぎと怖さで震えていた。



