「…ごめん美和。場所もっと考えたほうが良かったよね」 後ろから高嶋くんの静かな声がこぼれた。 私はそのまま俯いて、口を開いた。 「…高嶋くん…私…」 喉から出た自分の声が、自分でも驚くぐらい震えていた。 「返事は今度」 少し苦しそうな声の高嶋くんは私の頭に触れると、そのまま図書室を出ていった。 …私は、自分がどうして焦っているのか、どうして声がこんなに震えているのか、まったくわからなかった。