次々と言われる言葉の数々に耐えられず、口を開きかけた時…


「美和ー! 担任が呼んでる!」


教室のうしろのドアから、薺ちゃんが私を呼んでいた。





『担任が呼んでる』というのは、あの場から抜け出すための口実だったらしく、私をひと気のない場所に連れていった薺ちゃん。


私に気を遣ってなにも聞いてこない薺ちゃんに、今まで黙っていた南くんへの気持ちを話した。


時折頷きながら私の話を聞き終えると、薺ちゃんは私をぎゅっと抱き締めた。


「薺ちゃん、ありがとう」



薺ちゃんはやっぱりなにも言わなかった。