南くんたちと4人で遊んだ夏休みよりも、陽が暮れる時間はずいぶん早くなったし、少し肌寒くなってきた。
やっぱり、もうすぐ冬なのかな…。
そんなことを考えながら歩いていると、隣で薺ちゃんが口を開いて、ポツリと話しはじめた。
「…長澤さんがさ、さっきあたしんとこ来て、『さっきはごめんなさい。ありがとうございました! さようなら!』って、めっちゃ笑顔で言ってきた。むかつく」
どうしてか、悔しそうな薺ちゃん。
「…さっき、なんの話だったの?」
「あ…、あのね、南くんのメアド聞いて欲しいって、言われた…」
「はあ? 好きなら自分で聞けばって話だわ。ほんと意味わかんないあの人」
口調を荒くして文句を言う薺ちゃん。



