山崎さんはお喋りさんだということが、教室から歩き初めて3秒でわかった。
3人で教室から足を踏み出した途端に
「三上さんって、なんで影宮さんと一緒にいるの?全然タイプが違うのに。もしかして、幼い頃の私と馴染みとか?それか、影宮さんも実は地味な人だったりして?」
と、なんとも饒舌に、なんとも短い間にこれほどの内容を喋った
「んー、そうだね、まことは幼馴染みだよ?そして、まこは地味じゃない。私とは正反対だよ?」
と、優しい学級委員長キャラで喋ってみる((どんなキャラだよ
「なんだ?私がいたら迷惑か?」
と、まこが機嫌が悪そうに(いや悪い)言う
すると
「だって影宮さんは、影宮組の人でしょ?入学式の時もその話題で持ちきりだったよ?」
と、イッタ。
何故か私の胸はチクッと痛んだ
いや、何故かなんてわかってる。
自分もこんな経験があるから。
私達は暴力団の娘だからと、邪魔もの扱いされていた時期もあった
とくに中学生時代。
小学生時代はそんなことは幼いばかりに、自分も友達達も気にせずにいてくれて、物心ついた時にようやくわかって、
でもその時は受け入れてくれた
そして、迎えた中学生。
最初、私達は色眼鏡で見られ幾度となく、悩んだ
でも、私はなんとかその誤解を解いた。
それは、私の力だけではない。
私の力と、組は暴力ばかりふっているのではないということが示せたから。
私達だって友達つくって、遊んで、プリクラ撮ったりしたかった。ただそれだけ。
そして、こんな思いをするのはもうゴメンだった。
だから
「私、そういうの嫌いだなぁ……」
「だよねー!三上さんも暴力団なんて嫌いだよね」
何を勘違いしてんだ
「暴力団のこと、悪く言う人。嫌い。つか、関係ねぇよ。暴力団もくそも。んなことで、友達選んだりしねぇよ。」
「かなみ……」
「え??ちょ、三上さん!どういうこと?」
「そのまんまだ。あー、もう失せたわ。あんたと、帰る気。じゃあな。」
「はぁぁ!?!?私は、クラスで浮いてる2人と仲良くしてあげようと思ったのに」
あー、そういえば、この人。
うちのクラスの学級委員長か。
「いや、大丈夫。心配されずとも友達作ってやるから」
と、山崎さんに背を向けて言った。
「かなみ……?」
「ん?」
「ありがと」
微笑んで
「当たり前だっつの」

