普通の恋はできません！

「たっだいまー」


「「「「おかえりなさいやせ！」」」」


「うん！」


いつもと変わらない。

いつもと同じ。

当たり前の風景。



私は玄関から少し歩いて台所へと辿り着く


「美香さーん！弁当ありがとー！」


「あっ！やっぱり、かなだったー！おかえり！」


美香さんは私のことを唯一「かな」と呼ぶ人物


「うん！でさぁ、今日はじめて友達できたの！」


小学生のように報告をする私。








そう、今日帰るとき……


「かなみー！帰ろー！」

とまこが私の方へ寄って来た時


「あ、あの……。」


「ど、どうしたんですか？」


と、山崎あかねさんが私に話しかけてきた

山崎さんは、何も被らずして、きっと地味なお方なんだろう

赤メガネに横結び。

見るからに大人しそうであり、地味



そして、私は今の格好に似合うような口調で返して


「え、えっと……」

なかなか本題に入らない山崎さんに耐えかねたまこが

「用事あるなら早く言ってくんね？」

と、強めにいう。


まこはこの性格のおかげで小中とクラスに馴染めずにいた。

私、以外の子とは

私はこの子のことをよくわかっていて、たまに、おいおい……となることもあるけど、

この子のこの性格に何度も救われたし、

まこも、これをわかっていながら直そうとしない

ということは、このままでもいいということかもしれない


でも、この場合は山崎さんが可哀想に見えた

だから


「まこ」

と、まこを制し山崎さんに尋ねる


「山崎どうしたの？」

と尋ねた。

すると、先程までのおどおどさを感じさせず


「三上さん！帰る方向同じですよね？一緒に帰りませんか？」

と。

三上とは私のこと。

ほんとの苗字は桜田だけど、桜田なんて苗字はそうそうない。


そのため、龍田組の人達にバレるといけないので名前を変えさせてもらってる。



「どっち方面？」

「学校前の分かれ道を左に曲がって西方向のあの、桜田さんの豪邸がある方面です」

「おー！同じ！」


「桜田」と言う単語にはドキッとしたが、どうやらその言葉を意図的に、私に意識させようと言ったわけではなかったらしい



でもやはり、このように何の理由もなしに私に近づいてくるやつはそれなりに警戒さしてもらう。疑わしてもらう。


「まこー。一緒に帰りたいって。いいよね？」

と、まぁ、わたし自身も腑に落ちない所もあったけれども、

こんなにも健気に私を誘ってくれた子なんていなかったから、それも後押しして一緒に帰ることを決めた


「んー……。かなみがいいんなら」


と、承諾してもらったところで


「じゃー、帰ろっか！」

と、私は笑顔でそう言った