小さい恋



松井の言う通り、
俺が目で追っていたのは1年の吉本さんだった。

1-2でテニス部の吉本優海さん。


茶色い髪にくるんと曲がった前髪が特徴で
目がひときわ大きい。


....俺のドストライク。笑


今年の1年には可愛いこが多いと評判で
萩野の彼女の吉川さんや吉本さんもその1人だった。


小さい身体ですごいペースで走っていて
汗を流しながら大きな目をキラキラさせて
走るその姿に、俺はいわゆる一目惚れをした。


俺には彼女がいた。
同い年で隣のクラスの原田というバスケ部の人。


クラス長で気が強くて俺とは正反対のタイプ。

俺は、とにかく背が小さい。
男なのに160ないくらいだ。
ほとんど女子と喋れないタイプ。


そんな俺がなんで原田と付き合ってるのか
疑問しか沸かないが、俺なりに好きだった。

気の強い原田も、俺の前では弱音を吐くし
正反対だからこそ合ってたのかもしれない。


ーーでも俺は、、


最近、吉本さんが気になっていた。



彼女がいながら
萩野を通じて連絡先まで貰ってしまった。


ーー俺、いわゆる浮気してんじゃん。今。


深いため息をつきながら
走り抜ける吉本さんに再度目をやった。