そして俺は旅に出た。

それはある日のことだった。

「魔王…倒そうぜ…?」

「…は?」


友人のもともとぶっ飛んでた頭がさらにぶっ飛んだのは。もうこいつダメだろ。なんだよ魔王倒そうとか魔王とかいんのかよ。

「だーっからさ!魔王倒そうぜ?!」

「え、いや、ちょ」

「は?勇者やりたいって?いいよ!譲ってあげるよ!優しい優しい私だもの!」

「ごめんウザい。あと勇者やりたいってわけじゃ」

「え?私?僧侶だよ!あ、今日の午後一時迎え行くから準備しててね!!」

「え?ちょ、待て」

「バイビー!!!」

「待てええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」


そんな俺の叫び声も虚しく青空へと溶けていった。とりあえずあいつは一回言ったら何か決定的な何かが無い限り曲げようとしない。小さい頃あいつに虹の向こう側行ってみようぜなんて言われた時も止めようとしたけど聞かなくて結局行ったからな…とりあえず準備しとくか。

「えーっと…ハンカチ、ティッシュ、お菓子…あ、財布とスマホも入れとこう。あっPSO!」

とりあえず必要最低限のものは持った。後は一時になるのを待つだけか…後三十分…ちょっと寝よう。ねむ…



「おらおらおらああああああああ!!!魔王倒すぜ行くぞおらああああああああああああ!!出陣じゃああああああああああああああああ!!」

「うるせー!!!!!」

「あらおはようございます勇者様」

「おう…はよ。じゃあ行くぞ…ってか一ついいか?」

「いいですわよ」

「何そのフル装備!!!」
「は?そんなの普通だろ?魔王だぞ魔王てかそんなことより早く行こうぜ!!!」

あっあいつ…思いっきり全力疾走。早いぞくそ!!あの調子じゃ転びそうだな…絆創膏と消毒液も持って後追いかけるか。


俺の家から少し離れた大通りで友人は俺の期待を裏切ることなく転んでいた。
「あ!勇者様ああああ!!痛いよおおおおおお!!」

「急に走るからだろ」
そういいながら手際よく治療。てかこいつ僧侶じゃなかったっけ?

「おし。もう大丈夫」

「はあああ痛かったああああ!!だって全力疾走してたらそこ!!そこの隙間に躓いて!!」
「わかった。わかったから。行こうな?」
「はい。勇者様。」
「某心霊番組か」

なんかもう…町から一歩も出てないのに疲れたんだけど。