「……」
シーンとなった空間。
気まずい。
「…あのさ」
松岡くんが、口を開いた。
「…うん」
「本当は…なんで、ここに来たの?」
「…え、いや…なんとなく?」
「…何だそれ」
ハハッと松岡くんは笑い、ボールをついた。
「あ、そうだ。ねぇ、歌うの苦手って本当?」
「うん。音痴だから」
「ほんとに?」
「ほんとだよ」
「私も音痴だよ」
「見えるよ」
「こらこら」
松岡くんって、結構いじわる?
そう思いながら、松岡くんのバスケを見ていた。
「ね、松岡くんってバスケいつから始めたの?」
こんなに上手いから、幼稚園?いや、幼稚園は早すぎるか。
「……」
…あれ、無視?
松岡くんは、ボールを胸元に持っていき、ジッと見つめていた。
