「ごめんごめん。あれ?シュート打たないの?」
「ー…打つ」
拗ねたように言うと、松岡くんは微笑んで私にボールを渡してくれた。
よし…。今度こそ決める…!
ボールを構えた。
「ちゃんと脇、しめないと」
私の後ろから、声が聞こえた。
抱きしめられるように、腕を下げられる。
何これ、何これ!
私は、緊張で動けなくなっていた。
「…あ、ごめん!」
松岡くんがそれに気付いたように、慌てて私から離れる。
松岡くんを見ると、顔がすごく真っ赤になっていた。
その顔を隠すように、彼は地面に視線を向ける。
「ほんと、ごめん!夢中になりすぎた!」
「ぜ、全然いいよ!ありがと!」
松岡くん、バスケの事になると夢中になりすぎるんだ…。
そんな彼を可愛いと思いながら、私はまた神経を集中させた。
