戸惑っているあたしに、
「今から俺たちは恋人同士なんだから、先生なんておかしいでしょ?」

先生は言った。

「は、はあ?」

じゃあ、あたしはどう呼べって言うのよ。

先生は先生なんだから、何があるって言うのよ。

いきなりの“先生禁止令”に、あたしは困るしか他はない。

「どうせなら名前で呼んで?」

そう言った先生に、
「山吹さん?」

あたしは呼んだ。

「できれば下の名前で」

「…勇吾さん?」

「おしい。

できれば最後の2つはいらない」

……“さん”は、いらない?