「んもー、わかりましたー」

ヤケクソで約束にうなずいたその瞬間、あたしは気づいた。

先生の企みはこれだったんかい!?

「じゃ、待ってる」

あたしが約束にうなずいたとたん、先生が腕を離した。

ううう~っ、注意してたつもりだったのに~。

またも先生の策略に乗せられた自分に涙が…出てこない。

人間、呆れると血も涙も出てこないのね。

「梨代」

名前を呼ばれたと思ったら、またチュッと触れるだけのキスをされた。

「おやすみ」

「…おやすみなさい」

返したその声に、もはや元気すらなかった。