そう思っていたら、
「――梨代?」

先生があたしの名前を呼んだ。

「あっ…勇吾…」

あたしも先生の名前を呼ぶと、先生も寝ぼけた目をあたしに向けた。

えーっと、何でしょう。

こう言う場合はどうした方がよろしいですか?

そう思っていたら、先生に抱き寄せられた。

「んー、夢じゃないや」

そう言った先生に、
「はっ?」

あたしは聞き返した。

何が夢じゃないの?

「ちょっと心配してたんだ。

朝起きたら梨代がいなくなってるんじゃないかって思って」

何の心配ですか。

「でもよかった」

そう言って先生は、また目を閉じた。